Public Memo For Me

プライベートなメモ帳だけど、公開することで理性を保つ

書評:すべてはノートからはじまる



私はある本*1をきっかけに、日々感じたことをA4コピー用紙に書いていた。その後、ipadで実施するようになり、現在は、紙ノートでやっている。また今年からサッカーに興味を持ち始め、サッカーの本を読んだり観戦をしては、ノートにツラツラ書くということをやっている。

この営みに意味はあるのか?、どこか虚しさを覚える瞬間がある。

もっと良いノートの活用方法はないか?、こんな前向きな悩みもある。

こんな定期的に生まれるこの疑問に対して、本書が答えを与えてくれるのではないかと思い購入した。さて、本書の構成は以下の通りである。

1章ではノートとは何かを定義する。本のタイトルからだと、紙のノートを”ノート”と定義するのかと思いきや、電子的なものやただのメモも含めてここでは”ノート”と定義している。ちなみに本書におけるノートの定義は、

書き留め、記録を残し、情報をあとから使えるようにすること。そのような性質を持つ道具すべてが、ノートです。 P.34



2章から7章まで用途別のノート活用方法のtipsで構成されている。特に私に刺さったのは第3章「進めるために書く 管理のノート」と第4章「考えるために書く 思考のノート」である。後ほど掘り下げて話す。

本書の特徴として、様々ノートの取り方を提案し、その効能について説明している。裏を返すと、画一的なやり方を押し付けることなく、読み手に自由度を与えている。逆にノートを今まで活用したことない人*2は、途方に暮れてしまうのではなかろうか、と少し危惧をした。確かに本書では「不真面目に使うことを推奨する」と書いているが、新品の紙のノートを目の前にして、なかなかこの気持ちで書くこと難しいのではないか。

なので私のおすすめとしては、副読本として、「ゼロ秒思考*3」をおすすめする。この本に書いている気持ちでノートを書けば、本書が狙っているノートの取り方を実践できるはずである。

さて、私が今回特に参考になったのは、3章「進めるために書く 管理のノート」と4章「考えるために書く 思考のノート」である。なお、ここからの文章でノートと書いているものは、すべて「紙のノート」をさす。

まず第3章「進めるために書く 管理のノート」

日々の習慣を管理するために、表を使い目標を書き込み日付ごとに○、×をつけるという件がある。

今年からダイエットを始めていて、毎日体重計にのり、その結果をスプレッドシートに入力している。そこから発展して、摂取カロリーや血圧やらもスプレッドシートで管理をしている。なのでこの件を読んだときの感想として、すでにやってるなぁ、という考えであった。

ただ、モノは試しだと思いスプレッドシートに入力している体重を毎日ノートにも書き込むようにしてみたところ、1歩踏み込んで考えることができるようになった。それはどういうことか?

スプレッドシートに体重を記入している時は、昨日と比べて増えたなぁとか、何が原因かなぁと、頭で考えるだけで、その結果が次の行動へ繋がっていかなかった。しかしノートに体重を書くようにしたところ、余白に原因やら今後どうアクションしてくかを書き込むようになり、改善行動へ繋がっていった。これは大きな発見である。

そして第4章。「考えるための」。ノートを取ることは「ファスト&スロー*4 *5」でいうところのシステム2*6を起動 させることにつながるとあった。これは体重をノート に書く件で体感済みである。ものをしっかりと考えたいときは、なんでもいいから書き出す、読書猿さんの独学術の世界で語れば「外部の足場」である。このように自分の思考を頭の外へ吐き出すと、新しい考えが頭の中へ浮かんでくることが改めて体感できた。

本を買った当初は、ノート の取り方のハウツー本だと思い手に取った。しかし、読み終わった後の印象は、自分の頭で考えるためにどうすれば良いかが書かれた方であった。ノートを取る習慣がある人は本書を読むことで新しい使い方が発見できるし、ノートを今まで活用できていない人は、「ゼロ秒思考」と合わせて読んでいただくと、ハードルを下げてノートを楽しめるのではないかと感じた。

*1:これがゼロ秒思考、という本

*2:自分の意志でノートに文字を書いている人のことを指す。例えば、仕事で必要なことをノートにメモをするだけの人はこれに該当する

*3:

*4:

*5:ファストアンドスローを読んだことない人のために補足すると、人の考える機構は「システム1」と「システム2」に分けられる。システム1は所謂、瞬発系の思考。例えばエレベータのドアが閉まりそうな時に、開くボタンを押す。これはシステム1が司っている。システム2は反対に熟慮型の思考。この機構は労力を非常に要するので、人間は本能的に避ける傾向がある。意識しないとシステム2が起動しないので、起動のスイッチを持つことが大切であるが、システム1は人間がヘルシーに生きるために必要な機構

*6:本書ではシステム2という言い方はしていないが