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読書メモ:100分で名著「マネジメント」

読み始めた経緯は?

「マネジメント(エッセンシャル版)」を読み進めていたが、腹落ちしないし理解も進まないので、副読本を探していたところ、本書を知った。2か月前に「別冊NHK100分de名著 集中講義 大乗仏教」を読み非常にわかりやすかったこともあり、100分de名著シリーズに対する印象は良い。ただ、発行年が2012年と今から9年前と古いことが気になったが、それよりも100分de名著に対する印象の良さが勝り、購入*1した。

ざっくりとした感想は?

「マネジメント(エッセンシャル版)」と内容が被るところもあるが、手を変え品を変え説明をしており、理解の促進に役立った。ただ本書は、「マネジメント(エッセンシャル版)」を徹底的にかつ網羅的に解説しようと試みた本ではないことに注意が必要である。本書は、ドラッカーの思想的な背景やその当時の社会情勢、はたまたドラッカー自身の生い立ちにもそれなりのページ数が割かれていることから、「マネジメントを基点にして、ピーター・ドラッカーはどういった人物なのか?」という観点で書かれているドラッカー本、と言って良いのではないかと考える。

個人的な本書のポイント

1. ドラッカーとは何者か?

私は、ドラッカーは経済学者であり、専門的に経済学を学んできた方という認識をしていた。しかし、本書ではドラッカーは「経済学者ではなく、社会生態学者と名乗るようになった」と書いてあった。ここで一つの疑問が湧いた。ドラッカーは本当に経済学者なのか?と。そこでwikipedia*2を参照すると、驚いたことに、彼は法学博士号をもっているが、経済博士号はもっていない。本書やwikipediaをによると、彼は独学で経済について観察し、そして論文や本にまとめた結果、経営系の大学教授となったのである。なるほど。博士号まで取った人は、別の分野でも独学で十分に研究ができるのかと同時に、経済の専門家ではないことを知った。

2. マネジメントにたどり着いた背景

本書によると、この世の中には資本主義と社会主義というそれぞれの世界観があるがいずれも人々を幸せにしていない、という。資本主義と社会主義、いずれも経済市場主義をベースにしているため、表層的な考え方は違えど根本は同じと本書はいく。では、どのような主義(以降、イムズ)が人々を幸せにするのか?、という疑問が湧くだろう。そう、人々を幸せにするイズムこそ「マネジメント」であると、ドラッカーは言う。「マネジメント」とは単なる能力やスキルの話しではなくイムズの話しなのである。

ここまで話しが飛躍すると、置いていかれた感じが否めない。ただ、ここで考えを改めないといけないのは、マネジメントとは能力やスキルではなくイムズである、と。

3. マネジメントに必要なモノは?

最後に、マネジメント”イムズ"を成し遂げるために必要な能力やスキルは何か?について考えていきたい。自分が身をおくIT業界という文脈でマネジメントを考えたときに、マネジメントに関連する必要な能力やスキルを定義している団体はどこか?と考えると、真っ先に浮かぶのはIPA*3である。そしてその団体が実施している試験の中に「プロジェクトマネージャー試験」というものがある。pプロジェクトマネージャーとは、読んで字のごとく「プロジェクトをマネジメントする役割」である。その試験の対象者像には以下記述がある。

高度IT人材として確立した専門分野をもち、システム開発プロジェクトの目標の達成に向けて、責任をもって、プロジェクト全体計画(プロジェクト計画及びプロジェクトマネジメント計画)を作成し、必要となる要員や資源を確保し、予算、スケジュール、品質などの計画に基づいてプロジェクトを実行・管理する者

出所:*4

定義を読むと非常に狭い意味ではドラッカーのいうマネジメントに適合しそうな気もするが、抽象度があっていないように思える。

ではドラッカーは、マネジメントには何が必要かと考えているか?それは、「真摯さ」である。マネジメントに求められるものは、能力やスキルではなく、姿勢が大切、と仰っているように感じる。確かに、マネジメントをイムズとして捉えるのであれば、これぐらいの抽象度が適当だろう。プロジェクトマネージャーという職種において、マネジメントを発揮したいのであれば、真摯さをもって予算、納期、品質管理を行う、ということになるのだろう。

おわりに

本書を読めば、ドラッカーのいう「マネジメント」について理解をできるか?と言われると、それは限りなくNOである。ただし、彼のいうマネジメントはどういったものなのか、定義レベルから再確認し、また、彼はどういう人でどういった背景からこのマネジメントというイムズが生まれてきたのかを知るにはよい本である。また、私と同じようにエッセンシャル版マネジメントに行き詰まりを感じたのであれば、一読する価値は十分にある。

*1:このタイミングで例の女子高校生が主人公の本も購入

*2:https://ja.wikipedia.org/wiki/ピーター・ドラッカー

*3:独立行政法人情報処理推進機構 IPA:Information-technology Promotion Agency, Japan

*4:https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/pm.html