ドラマ:浦安鉄筋家族を見た感想
昨日、全話見終わった。今年見たドラマで1番になる可能性が高いので、感じたことを書いておく。なお、ネタバレはしないように書いているので、ご安心を。
まず最初に、浦安鉄筋家族を小学校の時に読んでいた時の印象として、キタナイ・オゲレツ・破天荒、なギャクマンガという印象であり、笑い以外の何かを感じたことはなかった*1。なので、当初は見るつもりはなかったが、アマゾンプライムのおすすめにやたら出てくるので、重い腰を上げて見ることにした。
見たことのない人に簡単に漫画の概要をお伝えすると、浦安に住むやや貧乏な家族が、小学生の小鉄を中心にめちゃくちゃな私生活をオールドなキタナイギャグ漫画スタイルで描いた作品である。
なので、全く期待していなかったのだが、一話を見終わった後に思わず涙をしてしまった。なぜ私は泣いているのだろうか、それを当時は説明がつかないぐらい心に触れる何かがあった。
全話見て私が感動したポイントは3つある。
・主人公と自分をうまく重ねることができた
・ドラマに心を許せる作り
・再現性を求めるところと諦めるところのギャップ
主人公と自分をうまく重ねることができた
原作漫画は小鉄という小学生が主人公であったが、ドラマでは大鉄というお父さん(タクシー運転手)が主人公として描かれている。考えてみると、原作漫画が流行したのが私が小学生ぐらいでであり、その時の小学生は、ちょうど大鉄と同じくらいの年齢に差し掛かっている。
恐らくドラマの作り手がこのことを意識してあえて原作と主人公を変えたのだ。そうすることで、小学生だったときに読んだ懐かしい気持ちと、当時わかりえなかった家族を持つ大鉄の気持ち、両方の気持ちをリアルに味わいながら見れる効果を狙ったのだ。
ドラマに心を許せる作り
家族の会話シーンで、かなりの頻度でアドリブを入れていることがわかる。しかも、素人がわかるぐらいに不自然に際立っている。すっきりしたドラマに仕上げようとするのであれば、カットするか取り直すかをするだろう。しかしこのドラマではあえて残している。
私が考えるに、不自然なアドリブシーンを残すことで、ドラマの作り手 VS 視聴者という構図を取り除き共犯効果を狙い、視聴者に浦安鉄筋家族の制作陣の一員、あわよくば家族の一員と勘違いさせようとしたのだと考える。この結果として、私はドラマに心を許すことになった。
再現性を求めるところと諦めるところのギャップ
外見に特徴を持ったキャラクターが多々いる。例えば、近所のスーパー貧乏同級生の母親である「仁ママ」、小鉄の担任の先生「春巻」、そして桜の彼氏ですぐに裸になる「花丸木」。表現しにくいし、かつ、そのままやろうとすると汚さが残る。それをギリギリのラインで表現しきっていた。
これだけ再現に拘る反面、ギャグ漫画特有の非現実なシーンは、ちゃっちい模型でしかも模型とわかるように表現をしている。
最近見たドラマでどちらにも、しっかり振り切ったものは見たことがない。一見すると行き当たりばったりで作られているように見えるが、本当によく考え抜かれたドラマであることがここからも見て取ることができる。
以上が私の感想である。
なお、各回に少しずつ違和感のあるシーンがある。その違和感を大切にもっておくと最後にいいことがあるので、その違和感を大切に。
*1:私の感受性不足に依るところが大きいのだと思いますが