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5G(調べてみたシリーズ①)

興味のある技術要素を、今まではなんとなく調べて終わりにしていたが、理解度の向上と記憶への定着を兼ねて、少しずつ調べて書き残していこうと思う。

今回は5Gについて

【目次】


1. 5Gとは?

まずは、5Gの定義をwikipediaで調べてみると、

第5世代移動通信システム(だいごせだいいどうつうしんシステム、英: 5th Generation、5G)は、1G、2G、3G、4Gに続く国際電気通信連合 が定める規定IMT-2020を満足する無線通信システムである。一般的に英語の5th Generation、「5G」から(ファイブジー、ごジー)と呼ばれる。

ITU-Rは5Gへの要求要素・IMT-2020として、高速大容量 (eMBB:Enhanced Mobile Broadband)、低遅延 (URLLC:Ultra Reliable Low Latency Communications)、多数同時接続 (mMTC:Massive Machine Type Communications)の3つを定義しており、2020年現在IMT-2020の規定を満たすための標準化を行っているのは3GPPのみである(詳しい目標値についてはIMT-2020を参照)。

出所:https://ja.wikipedia.org/wiki/第5世代移動通信システム

と書いてある。つまり、4G以前の通信規定と比べ、5Gは高速大容量(eMBB)、低遅延(URLLC)、多数同時接続(mMTC)を満たすことができる。また、それぞれの要素に対する具体的な要求数字は、IMT-2020で定めてあるが、こちらもwikipediaから抜粋させて頂いた。

5Gにおける要求事項

f:id:i-tomtom25:20210214131817p:plain 出所:https://ja.wikipedia.org/wiki/IMT-2020

ここまででわかったことは、5Gは高速大容量(eMBB)、低遅延(URLLC)、多数同時接続(mMTC)に対して達成目標数字があり、それをクリアすれば5Gであるといえる土台にのることがわかる。

2. 4Gと比較し何が違うのか?

2.1. 概要

端的にいうと利用する周波数帯が違う。4Gと比べて5Gは高周波数帯を利用する。一般的に周波数が高ければ高いほど、情報量は増えるが、その代わりに直進性があがるため壁などがあると電波が届きにくくなるという性質を持つ。

また、5Gは「Non Orthogonal Multiple Access(NOMA):非直交性多元接続」という技術を採用しており、より効率的に情報を届ける仕組みがある。

これらをそれぞれ簡単にみていこう。

2.2. 利用する周波数帯

まず、4Gで利用している周波数帯と、5Gで利用している周波数帯を整理する。キャリアによって異なるが、

  • 4G:700MHz ~ 3.5GHz
  • 5G:3.7GHz ~ 28GHz

5Gが高い周波数を使っているのかは、一目瞭然である。また、総務省の資料において、5Gで各キャリアがどの周波数帯を使うのか、わかりやすく纏まっていたので転載する。

キャリアごとの占有帯域(5G)

f:id:i-tomtom25:20210214131741p:plain 出所:総務省 総合通信基盤局「第5世代移動通信システム(5G)の今と将来展望」令和元年6月27日 から抜粋 https://www.soumu.go.jp/main_content/000633132.pdf

こうやって並べてみると、2つ気になるところがる。1つ目が周波数帯、もう一つが28GHz帯に空いているスペースがある。

まず1つ目の周波数帯についてだが、大きく2つのグループに分けることができる。それは3.7GHz・4.5GHzグループ(Sub6波)と28GHz(ミリ波)である。みての通り、それぞれのキャリアが確保している。周波数が高ければ高いほど、直進性が増し障害物を迂回する能力が低くなるので、街の条件や使い方によって使い分けることが想定される。

次に28GHz帯に空いているスペースだが、ここはローカル5Gとしての活用を考えているようだ。ローカル5Gとは、読んで字のごとくではあるが、正しい認識をもってもらいため総務省の資料から引用する。

ローカル5Gの特徴 ・ローカル5Gは、地域や産業の個別のニーズに応じて、地域の企業や自治体等の様々な主体が柔軟に構築できる5Gシステム。 ・通信事業者によるエリア展開がすぐに進まない地域でも独自に5Gシステムを構築・利用することが可能。 ・通信事業者のサービスと比較して、他の場所の通信障害や災害、ネットワークの輻輳などの影響を受けにくい

出所:総務省 総合通信基盤局「第5世代移動通信システム(5G)の今と将来展望」令和元年6月27日 から抜粋 https://www.soumu.go.jp/main_content/000633132.pdf

つまり、キャリアの展開を待たずに自分たちで通信網を整備することで5Gを使ったサービスを展開できるということである。これは、限られた地域や場所でのスマートシティやスマートファクトリ等実験に確保していると考える。これは通信網を伴ったサービスを検討する際にはぜひ頭に入れておきたい事項である。


■蛇足

話しが逸れるが、国が違えば5Gで利用する帯域も異なる。同じく総務省の資料が良く纏まっていたので転載する。

各国における5Gで利用する周波数帯

f:id:i-tomtom25:20210214131747p:plain 出所:総務省 総合通信基盤局「第5世代移動通信システム(5G)の今と将来展望」令和元年6月27日 から抜粋 https://www.soumu.go.jp/main_content/000633132.pdf

2.3. 5Gにおける新技術(NOMA)

高周波数帯になったからと言って、すぐさま3つの恩恵が受けられるわけではない。電波へ情報をどのように乗せるか(プロトコル)も5Gで変わり、「Non Orthogonal Multiple Access(NOMA):非直交性多元接続」という技術を採用している。

具体的な技術の紹介は他に譲る1として、私なりの理解は以下の通りである。

これまでは、ある時間、ある周波数帯であれば、どの端末に対する通信なのかは一意に特定できた。しかし今回の技術では、電波の強さを軸にしてどの端末に対する通信かを判別する。つまり、ある時間、ある周波数帯という軸だけでは端末を特定することができなくなるが、基地局から発せられる電波の強さによって端末側が自分宛ての通信かを特定する。新しい軸が加わることにより、より多くの端末に対して通信できるようになった。

3. 私たちの生活は大きく変わるのか?

まず最初に4Gから5Gへ主流がこれから徐々に移っていくことが想定されるが、直近で私たちの生活にインパクトを与えるか、といわれるとNoである。その理由として、前回の3Gから4Gへの移行では、スマートフォンというすでにある媒体において動画をストリーミングできるようになったことが、我々にとって大きな転換点であったといえる。

では、現在も消費者の主流ディバスがスマートフォンであるが、4Gよりもさらに速く、低遅延、大量接続されることで、今あるサービス、今あるディバイスで新しいことが起こるか?と言われるとNoである。

現在の状況は、いいインフラは整ったが、そのインフラを最大限に生かせるサービスが存在しない、という状況である。よって、新しいサービスが登場しない限りは、5Gになったとしても私たちの生活に大きな影響はないと示唆する。

とはいえ、実証実験も進んでいるので2つほど例を紹介して、このブログを終わりたいと思う。いずれも、参考2から引用したものである。

1つ目:1-1-①

5Gを活用した高度遠隔移動診療に関する実証試験 高性能な医療機器を搭載した移動診療車と共に派遣された医師が5Gを介して遠隔地の専門医の助言を得ながら行う遠隔診療の実証

3つある特徴のうち、高速大容量(eMBB)を軸にした実験と推測。リリースを読む限り、画質鮮明であるが故により的確な診察ができるということであろう。まぁ、あまり魅力を感じないなぁというのが印象である。

2つ目:1-3-①

5Gを活用した高技能工員の労働安全確保に関する実証試験 造船所のクレーンの運転台から死角となる場所の高精細映像を5Gを介して 運転台に表示することによる安全な作業環境の実現に関する実証。

3つある特徴のうち、高速大容量(eMBB)と低遅延(URLLC)を軸にした実験と推測。リリースを読む限り、リモートでも十分に機械操作ができるために、画像のクリアさであったり、手元で操作した結果がほぼリアルタイムで機械に反映されることがポイントであろう。1つ目に紹介したものと組み合わせて、遠隔手術、のようなものができると、都市部と地方の医療格差が是正されるので非常に有意義ではないかと思う。


最後にまとめると、夢が広がるように思える5Gであるが直近私たちの生活が大きく変わることはない。ただ、5Gの恩恵を活用できる方法や媒体が発明されると、スマートフォンが普及したように一気に世界が変わることも考えられる。しかし、現時点での実証実験を見ていると、コンシューマー向けの変革というより、生活を支える根幹部分のサービスが変革(つまり便利に)なっていくような気がする。【了】


  1. ケータイ用語の基礎知識[第784回:NOMA とは]https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/column/keyword/1033480.html

  2. 2019年度 総務省「5G総合実証試験」の成果についてhttps://www.nttdocomo.co.jp/binary/pdf/info/news_release/topics_200316_00.pdf