Public Memo For Me

プライベートなメモ帳だけど、公開することで理性を保つ

戦力の逐次投入を目の当たりにしたときのお話し

数年前の話しになるが、悪手とされる「戦力(要員)の逐次投入」を近くで見る機会があった。直接被害はなかったが、そこで働いている人達の混沌具合は、今でもたまに思い出してイヤな気持ちになる。今回、文章化することでお焚き上げして供養したい。

まず当時の状況を簡単に。

私は、とある大規模システムを管轄する部門にに対してPMOとして参画していた。企業基幹システムのようなものをイメージしていただきたい。当該システムは、様々な部門からの改善要望が滞留している一方、リリースして8年経っておりサーバの老朽化が目立ってきていた。以上の状況から、お客様部門は「維持保守チーム」と「次期システム検討チーム」に分けて対応をしていた。そのうち私は「次期システム検討チーム」のPMOという立ち位置であった。

ここまで話すと、「大量の要望は優先度をつけて捌きつつも早急に次期システムへ乗り換えないといけない」という判断が妥当のように思える。しかし、システム規模が大きいため、過去の実績を鑑みても基本設計着手してから早くても2年はかかるという見込みが支配的であった。以上のことから部門長の方針として、「次期システム検討チーム」の人数を絞り「維持保守チーム」で大量の要望をまずは捌くという判断となった。

「その判断は如何なものか」というご意見もあるだろうが、当時の状況を鑑みると致し方ないと思っている。(今回語りたいのはこの部分ではない、というのもある)。ただ留意頂きたいのは「意識的に判断した」風に書いたが、実際には流れでそうなってしまった、というのが実態である。

さて、話しを戻そう。

「維持保守チーム」は名前の通り、システムに対して維持保守をすることがメインであるため、体制は厚くない。おおよそプロパー3名と1次請会社が4名程度、あと多数の協力会社、という体制であった。(なお、次期システム検討チームの要員はなぜかこのチームに合流しなかった)。今までであれば、案件数もそこまで多くなかったので、厚くはない体制とはいえ、問題なく処理できていた。ただ前述の通り対応しなければならない案件が2倍近くに増えてしまった。念のため補足すると、いきなり2倍に増えたわけではなく、3か月から半年をかけて徐々に増えてきたイメージである。

さて、あなたならどういう手を打つか。

上記に対する回答はいったん脇に置き、この部門長はどのような判断を下したか。想像は容易であろう。タイトルにある通り、戦力(要員)の逐次投入である。つまり案件が増えるたびに一次請会社の要員を確保し該当案件に投入する、ということをした。ある程度であればこの方法でも十分対応可能である。しかし今回のケースでは、破綻するまで案件が増えるたびに要員増強をしてしまった。

破錠した結果、具体的にどのようなこと起こったがまとめると、

  • 誰がどの案件を担当しているのかわからない
  • 案件をいつまでリリースしなければならないか、誰も把握していない
  • 案件を担当者が、突然いなくなっても誰も気づかない
  • 案件同士の連携が薄くなったため、担当案件の前提が曖昧になり、曖昧なままテスト→リリースをした(その結果どうなるかはご想像の通り)

味わい深い状況である。ではこの時、私は何をしていたか?。ここまでの話しはすべて「維持保守チーム」のことであり、私には直接的な影響はなかった。ただ、この状況に危機感をもっており、部門長に2,3度、「全体管理をする要員の提案」を行ったが、全く聞き入れてもらえなかった。

結果どうなったか?

実は結果を見届けることなく、次期システムの話しが立ち消えになってしまい、途中で離任することとなり、結末を見届けるとはできなかった。が、まぁ風の噂では。。。である。

次に、もう一度同じ環境に遭遇したら私はどうするのだろうか?またどういう手が考えられるか?、について整理し考察していきたい。

<同じ状況に陥った場合にとることができる手>

  1. 部門長の上司に進言する
  2. 放置してお鉢が回ってくるのを待つ案
  3. 現場メンバーから部門長へ進言させる

1の手は、中学生的な言葉を使えば「チクる」行為にあたり、それが発覚すると部門長との関係が壊れる可能性がある。今回は自分のチームが炎上しているわけではないので、同じ状況だったとしてもこの手を採用することはないだろう。この手を採用する時は、部門長との関係を見限る時である。

2の手は、今回とった手である。正直お鉢が回ってきても状況によっては受けないという選択肢もとれるので、今考えても悪い手ではない。勿論、お鉢が回っていけると思えば要員投下して捲ることができれば、自社の売り上げ的にも万々歳である。よって、今思い返しても完全な悪手とはいえない。

3の手は、私以外の人が管理要員の必要性を訴えることである。この手は2の手と合わせ技で使うことができ、かつリスクもない。あとは現場メンバーを焚きつけることができるか、にかかっている。今思うと、この手を打つ価値は十分にあったかなぁと思う。

さて話しが冗長になってしまったのでそろそろ話しを締めたい。

こうやって振り返ってみても、やはりあの時とった手は、必ずしも悪い手ではないことがわかった。救いである。ただ3の手を取っていればまた変わったかもしれないなぁということが、文章を書いていてわかったのは収穫である。また、文章化することで当時のモヤモヤが少し晴れた気ので、前を向いて仕事ができそうである。