Public Memo For Me

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リカバリープランを聞いた時にPMOとしてやるべきこと

数々のプロジェクトにPMOとして参画をしてきて、いやというほど聞いてきた進捗遅れに対する「リカバリープラン」。プロジェクトは違えど出てくる内容はさほど変わらないし、注意すべき点も抽象度を上げれば”ほぼ同じ"。今回は、よくあるリカバリープランとそれを提示された時の深堀り方法についてまとめてみたい。リカバリープランンとしてよくあげられるのは、以下3つ。

・残業をする
・人を追加する
・タスクの順序を入れ替える

それぞれ最もらしいことを言っているように聞こえるが、リカバリーできたとしても、成果物の品質としては下がっていることが多い。そして、その成果物品質の低下が、プロジェクト炎上へ導くので、品質を下げさせないように、各リカバリープランに対して、実現性を確認する必要がある。

それでは、リカバリープランを1つずつをみていこう。

 

 

1.残業をする


稼働時間を上げて対応をするプランである。確かに稼働時間を上げれば生産力は向上するので、打ち手としては成り立つ。ただちゃんと確認をしないといけないのは、残業するだけの余力がそのチームにあるのか?である。

恒常的に22時退社のチームが、「残業して対応します」と言ってきたら、成果物品質はどうなるかは火を見るより明らかである。

またもう一歩進んで考えてほしいのは、進捗報告の場で遅延報告するぐらいなら、事前に残業をしてリカバリーするのが普通。つまり、ちょっとした残業ではリカバリーできないレベルの遅延であることは心に留めておきたい。

とはいえ、PMOとして内部事情を完全に把握するのは難しいので、このプランが示された場合、

「何人が何時間、残業すれば終わるのか?」

を確認してほしい。ここをスムーズに答えられないようであれば、全く練られていないプランであることは明白。継続的な監視が必要である。また、この理由は経験則上、リカバリーに対する意識が低い人が多い。なので、この理由が出てきたら、そのチーム・担当者を注意深く監視する必要がある。

 

2.人を追加する


他のチーム等から人を追加してパワープレイで解決するというプラン。論理的には対応人数が増えれば、生産力は上がるので、プランとしては成り立つ。ただ、PMOとしてこの理由を聞いて納得してもらっては困る。一歩踏み込んで、以下3点は少なくとも確認をしてほしい。

・どこの誰を追加するのか?
・追加される人のスキルセットとタスク遂行に必要なスキルセットとあっているか?
・追加される人のタスクに影響はでないのか?

この3つの質問に対してスムーズに答えられないようであれば、練られていないプランであることは明白。練っていないプランをスルーするPMOは、機能していないのと同義である。ここでしっかり突っ込んだ確認をして、考えることを促すことはPMOとして大切な役割である。


3.タスクの順序を入れ替える


個人的には一番好きなプラン。なぜか?それは、スケジュールと向き合って考えないとこの理由はでてこないからである。ではこの理由がでたら無条件に信じてよいのか?念のため、以下3つは聞いておこう。

・順序を入れ替えていい理由は?
・なぜ最初から順序を入れ替えておかなかったのか?
・他タスクへの影響は?

順序を入れ替えると発言する時点でこれらのことは考えているとは思うが、中には考えなしにこのプランを提示する人もいるので、それは検知しておきたい。

 

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以上がよくあるリカバリープランとそれに対する深堀方法である。PMOがリカバリープランの正しさを証明することは非常に難しい。なので、まず我々にできることは、「しっかりと考えられているプランなのか?」を見極めることである。ここで考えられていないようであれば、プランとして成立しているかどうかも怪しいので、しっかりと詰めていきたいものである。

進捗遅れをリカバリーする猛烈に有効なプランとして、

 

 スコープを絞る(不要なことをやらない)

 

である。これはPM権限で時にはステークホルダーを巻き込んでいかないと発動できない。ただ、プロジェクトは生き物であり、進めていく中で計画当初は必要であったが、今となってはやる意味のない無駄な作業が少なくない。なので、作業が無駄だと感じかつそれをリカバリーしようとしているのであれば、PMOとしてスコープを絞ることをPM等に進言していくべきである。
スコープが絞れれば各チームの作業が減り、喜ばれ、PMOに対する信頼度があがるので、必要に応じてやっていきたい。